アンジェリクという作品を何気なく読み始めたら、予想外におもしろいではありませんか。アンジェリクのファンサイトを拾読みしたのが、ことのはじまり。
アンジェリクという題名だけは、古本屋の西洋文学の棚で何度も目にしてたので知っていたけれど、さほど読んでみたいとは思っていなかった。というか背表紙がピンクっぽいので、大人の恋愛小説を想像していたので手を出さなかったわけだ。
一言で説明すると、17世紀フランスを舞台にした女性の恋愛冒険活劇となるんだろうか。確かに恋愛というのが作品のテーマには違いないけれど、他にもたくさんのエッセンスが詰め込んである。社交界から路地裏まで当事を見てきたかのような細かい描写も面白い。もう一つ、前半でアンジェリクが財を築いていくくだりがあるのだけれど、今も昔もお金を稼ぐ方法は変らないものだなと妙に納得してしまった。
けっして美しいだけの恋愛を書いた作品ではなくて、人の暗い部分、嫉妬や陰謀が満載のこの作品。できれば男性にも読んでもらいたいと思う。ただ、作品自体は文字がぎっしりなので普段から小説を読んでいない人には、ちょっときついかもしれない。1巻は前振りという感じなので、読むならば4巻あたりまで一気に読んでしまおう。
じっくり読める長編小説を探している人には良い作品だ。